コラム
健康知っ得情報
監修/中京グループ会長 日本白内障屈折矯正手術学会理事長 市川 一夫さん
手術を受けるタイミングは?加齢で進む「白内障」
60代では約7割、70代で約8割、90代ではすべての人にその症状が見られる白内障。
日帰りの手術を受けてアクティブな日々を。
原因は、水晶体がにごること
年齢を重ねることで、誰もが発症する白内障。カメラにたとえると、レンズにあたる水晶体がにごることで、下記のような症状が出てきます。
こんな症状ありませんか?
□ 目がかすむ、ぼやける
□ ものが二重、三重に見える
□ 車のヘッドライトがまぶしい
□ 暗い場所でもものが見えにくい
□ メガネが合わなくなった
□ 色を見間違える
□ 視力が急に低下した
チェックが多くついた方は、専門医を受信しましょう。
しかし、40代のころから始まる老眼により見えづらいことに慣れてしまったこともあり、受診は後回しにされがちです。現在のコロナ禍で受診をためらっている方もいるかもしれません。
しかし、白内障を放置すると、進行してしまう以外にもデメリットがあります。目に入る光の量が少なくなるので、家の中で転倒したり、体内時計が狂って睡眠障害を起こしたり、さらにはガスコンロの火が見えづらくなることによる着衣着火のリスクもあります。
白内障の手術方法は?
白内障の治療には点眼薬を使うこともありますが、これは症状の進行を緩やかにするもの。根本治療は基本的に手術です。
現在主流の手術法は「超音波乳化吸引術」です。角膜をごく小さく切開してにごった水晶体を砕き吸引し、眼内レンズを入れるという方法。
片目5〜15分ほどで終わりますから、今は日帰り手術がほとんどです。最近増えているレーザー白内障手術のメリットは、精度の高い施術が可能なこと。多焦点レンズや、乱視を矯正するレンズを使用する場合はおすすめですが、一般的に治療費が高額になります。
白内障・レンズの選び方
にごった水晶体の代わりに入れる眼内レンズには、単焦点レンズと多焦点レンズがあります。自分の日常生活のプライオリティーに合わせ、使い勝手のよいものを医師と相談して選ぶといいでしょう。
単焦点レンズ
◆ピントが合う距離はひとつ
◆ピントが合わない場所を見るときには メガネが必要
◆保険が適用される
多焦点レンズ
◆ピントが合う距離は複数
◆メガネなしで遠くも近くも見える
◆選定療養or自費診療のため高額
◆光がにじんだり、まぶしく見える
手術に踏み切るのはいつ?
日常生活の中でちょっとした不自由を感じ始めたら、白内障の手術を考えるタイミングです。例えば「新聞がスムーズに読めなくなった」「テレビが見づらくなった」「手仕事に支障が出てきた」など。
視力の低下もひとつの目安になります。車を運転する人ならメガネなどで矯正しても視力0.7未満、運転しない人で視力0.5未満になったら、手術を検討しましょう。
もう高齢だから、と手術を控える必要はありません。手術後に身だしなみが整った、毎日きちんとお化粧をするようになった、控えていた旅行に出かけたという人もいます。視界がクリアになることで、生活もアクティブになることでしょう。